【11月27日 AFP】アイルランドのカトリック教会の聖職者らによる児童虐待問題に関する政府の調査報告書が26日発表された。30年以上にわたって虐待が隠ぺいされ、関係機関が被害者に誠実に対応していなかったことに対し教会と政府は謝罪した。

 今年5月には、全国のカトリック教会が運営する施設で1930年代から子どもたちに対し、性的、肉体的、精神的な虐待が広く行われていたという事実を初めて明らかにした衝撃的な調査結果が発表されていた。

 イボンヌ・マーフィー(Yvonne Murphy)判事らがまとめたこの750ページにおよぶ報告書は1975年から2004年にかけてダブリン(Dublin)大司教区の教会が運営する児童施設で320人を超える子どもに行われたとされる虐待について調べたもので、抽出された46人の聖職者も調査対象となった。

 ある聖職者は100人以上の子どもに性的虐待を行ったことを認めている。また、25年以上にわたり2週間に一度の割合で子どもを虐待していたことを告白した聖職者もいる。報告書は4人の大司教が恒常的に児童虐待を行った聖職者をかばい、虐待の事実を知っていながら警察に通報しなかったと結論付けている。

 ダブリン大司教区のディアミド・マーティン(Diarmuid Martin)大司教は謝罪の記者会見で「今日被害にあった方1人ひとりに謝罪します。こうしたことが起きたことを心から悔やみ恥じています」と述べた。

 報告書が公表された直後、同国政府も「この件に関して歴史的、社会的にいかなる理由があろうと、政府は躊躇(ちゅうちょ)することなくはっきりと、この事件において国家が犯した過ちについて謝罪する」とする声明を出した。(c)AFP/Andrew Bushe