【11月25日 AFP】米グーグル(Google)は24日、イラク・バグダッド(Baghdad)にある国立博物館(National Museum)の収蔵品の電子化と目録作成などを行うプロジェクトを開始すると発表した。

 3日間の日程でイラクを訪れた同社のエリック・シュミット(Eric Schmidt)最高経営責任者(CEO)は訪問最終日の同日、バグダッドで記者会見し、同博物館の収蔵品約1万4000点を電子化して来年初めからオンラインで無料公開すると語った。

 シュミットCEOは「世界におけるグーグルのミッションは、誰もが情報を利用できるようにすることだ」と前置きし、アラブ世界には、手に入りづらく、まだ理解されていない情報が膨大にあると述べた。また、「イラク政府とイラク国民の支援により、この博物館はいつでも世界中に開かれることになる」と語った。

 国立博物館はかつて世界屈指のメソポタミアコレクションを誇っていたが、2003年4月の米国主導の進攻後に約1万5000体の像など多数の貴重な美術品が略奪された。多数の古美術品が破壊されたり像の頭部がたたき落とされたりしたほか、強盗団が価値のある美術品を選んで密輸した。

 その後、一部の美術品は美術館に戻ってきた。その大半は隣国のヨルダンにあったが、シリアや米国のほか、ペルーやスウェーデンに渡っていたものもあった。

 プロジェクトにかかる費用の金額は明らかにされていないが、費用はグーグルと米国務省が共同で負担する。グーグルはプロジェクトに3人のスタッフをすでに派遣しているという。

 米国主導の進攻後、イラクは停滞した経済や老朽化したインフラの立て直しを図るため、海外からの投資を強く求めてきた。今回のグーグルの動きは、イラクの治安が改善しつつある兆しとみることができる。(c)AFP/Prashant Rao