【11月20日 AFP】(一部訂正)サハラ砂漠(Sahara)で、これまで知られていなかった約1億年前のワニ5種の化石が発掘されたと、米科学者らが19日明らかにした。奇妙な外見から、それぞれ「BoarCroc(イノシシワニ)」「RatCroc(ネズミワニ)」「DogCroc(イヌワニ)」「DuckCroc(アヒルワニ)」「PancakeCroc(パンケーキワニ)」と名付けたという。(括弧内は直訳)

 化石は、ナショナルジオグラフィック協会(National Geographic Society)が2000年から行ってきたサハラ砂漠の発掘調査で発見された。これらのワニは、現代の爬虫(はちゅう)類の祖先で、約1億年前のゴンドワナ大陸(Gondwana)に生息し、恐竜と同時代に進化を遂げたとみられる。

 5頭はすべて足が長く、現在のワニのように這うというよりは、ほ乳類のように4本足で立って歩いていたと考えられる。狩りをするときや危険から水中に逃げ込むときには素早く移動できたはずだという。

 ナショナルジオグラフィックのウェブサイトによると、5頭の中で最も強力なのは「イノシシワニ」で、体長は6メートル、ネコ科の動物のような剣歯を持ち、恐竜を餌にしていた。3組の牙があごからはみ出している姿がイノシシをほうふつとさせるため、この名が付いた。

 パンケーキワニは、尖った歯がびっしり生えた長さ1メートルの平べったい口を持ち、水中に何時間も潜んで魚が口の中に飛び込んでくるのを待っていたと考えられている。

 ネズミワニは、陸上で餌を探しやすいように鼻は短く上向きで、出っ歯だったとされる。

 調査隊は、同じ場所で、体重8トン・体長12メートルの巨大ワニ「SuperCroc(スーパーワニ)」の化石も発掘している。これらのワニの多くは、かつてサハラ砂漠が青々とした平原で大きな川がいくつも流れ、恐竜が支配していた時代に、現在のニジェールやモロッコあたりをかっ歩したり泳いだりしていたという。(c)AFP