【11月5日 AFP】北京(Beijing)で1日に大雪が降り、市内の交通機関や空の便がまひして市民らが寒い1日を過ごすことになった。この初雪が人工降雪によるものだったことが明らかになったため、北京市内の中国当局科学者らが批判のやり玉に挙げられている。

 1日の大雪は北京市内に1600万トンの降雪をもたらした。市内では冬の暖房の準備前だったこともあり、大勢の市民が批判の声を上げている。国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)が伝えた。

 チャイナ・デーリーによると、北京市の天候調整当局は、前日夜に大量の化学物質を同市上空の雲に散布して大量の降雪を誘発させた。北京市一帯の水不足解消のために必要な措置だったという。

 当初、北京市内の建物の暖房設備は15日から稼働を始める予定だった。しかし、突然の寒さのため、予定を前倒ししての暖房供給を余儀なくされており、市当局職員らは4日も稼働作業を続けている。

 チャイナ・デーリーに掲載された論評の1つは「(人工降雪のための)雲への散布の持っている危険性を検討しておくべきだった」と述べ、「政府の判断は独断的で、市民の利益を無視している」と批判的なものだった。

 1日の大雪は過去22年で最も早い初雪となった。航空便200便が遅延して乗客数千人が足止めされ、雪が原因で交通事故も発生し、停電も数十回起きた。

 中国気象局(China Meteorological Administration)のChen Zhenlin報道官は「(今回の出来事は、)天候調整を市民に知らせる警報システムに、大幅に改良する余地があることを示した」と語ったという。

 中国の気象学者らは、干ばつを抑制するため、長年にわたり人工降雨を研究している。しかし、10月1日の建国60周年の国慶節(建国記念日)の際には、降雨を防止するために、消雲物質が散布された。(c)AFP