【11月3日 AFP】鉄道の建設が行われていたケニアで、多数の作業員を食い殺し、ハリウッド(Hollywood)で3本の映画にもなった2頭の人食いライオンが、実はそれほどどう猛ではなかったとする研究結果が、2日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に発表された。

 1898年、鉄道敷設作業が行われていたツァボ(Tsavo)では、作業員らが毎晩のようにライオンに襲われ、とうとう作業が中断される事態となった。これら2頭のライオンを撃ち殺した英国人のジョン・パターソン(John Patterson)大佐は、2頭は合計135人を殺したと主張した。

 これに対し、ウガンダ鉄道会社(Ugandan Railway Company)は「殺された人数はたかだか28人」だと反論したが、パターソン大佐の詳細な調査の内容から、「135人説」の方に軍配が上がっていた。

 ちなみに2頭の毛皮は、パターソン大佐が「敷物」として使用したのち、1924年にシカゴのフィールド博物館(Field Museum)に売却された。

 米カリフォルニア大(University of California)の学者らは今回、2頭の毛と骨のサンプルについて同位体分析を行い、彼らの食生活に人間がどの程度「貢献」していたのか、そして、生きていくうえで何人の人間を食べる必要があったのかを割り出した。

 その結果、作業員らを襲っていた9か月の間に食べた人間の数を、片方が11人、もう片方が24人と推定した。合計で75人殺したとしても多すぎると考えられるという。

 学者らは、パターソン大佐の135人という数字は、自分の評判を上げるために誇張されたものではないかとしている。(c)AFP