【10月27日 AFP】フランスの裁判所は27日、1990年代に弱い立場にある信者から金銭をだまし取ったとして、新興宗教団体サイエントロジー教会(Church of Scientology)のフランス支部に、組織的詐欺罪で60万ユーロ(約8200万円)の罰金を言い渡した。しかし、フランスで近年改正された法律により、同宗教団体を即座に解散させることができなくなったため、当局高官らは遺憾を表明している。

 罰金を言い渡されたのは、サイエントロジー教会のフランス支部で、パリ(Paris)にあるサイエントロジー・セレブリティーセンター(Scientology Celebrity Centre)と同センターの書店。

 裁判所は、同団体のフランス人指導者、Alain Rosenberg被告にも、同罪で執行猶予2年、3万ユーロ(約410万円)の罰金を言い渡した。同教会フランス支部のパトリック・メゾンヌーブ(Patrick Maisonneuve)弁護士は、控訴する方針を示した。

 サイエントロジー教会は、トム・クルーズ(Tom Cruise)さんやジョン・トラボルタ(John Travolta)さんなどハリウッド・スターも入信していることで知られている。

■法改正で解散命令が見送りに

 パリの検察官は当初、セレブリティーセンターと書店の閉鎖を求めていた。

 しかし前月、裁判所は、ことし5月に議会でほとんど気づかれることなく成立した改正法について気づかされることになる。公判開始の月に成立した同改正法では、判事は詐欺罪で有罪となった組織を解散させることができなくなっていた。

 その後この改正法は撤回されたものの、撤回は遡及的に適応されないため、現在開かれている裁判ではサイエントロジー教会を解散させることができず、そのため裁判所は減刑した判決を余儀なくされることになった。

 今回の裁判は、女性2人の訴えによるもの。1人は、1998年に人間の精神エネルギーを計測できるとする「エレクトロメーター」など、同教会の高価な製品を買わされて2万ユーロをだまし取られたとしており、もう1人は、同じく98年に、同教会の信者だった雇用主にテストを受けさせられ、プログラムに参加するよう強要されたが、拒否すると解雇されたとしていた。(c)AFP/Dorothee Moisan

【参考】「サイエントロジー・ビデオ・チャンネル」