【10月25日 AFP】1912年に沈没した豪華客船タイタニック(Titanic)号の最後の生存者で、今年5月31日に亡くなったエリザベス・グラディス・ディーン(Elizabeth Gladys "Millvina" Dean)さん(通称ミルビナさん、享年97)の遺灰が24日、タイタニック号が出航した英南岸の港町サウサンプトン(Southampton)の埠頭に遺族や友人たちの手によってまかれた。

 英サウサンプトン港では24日、ディーンさんのパートナー、ブルーノ・ノルマニス(Bruno Normanis)さん(87)が、タイタニック号が出航した43-44番乗船埠頭からディーンさんの遺灰を海にまいた。

 1912年4月14日、米ニューヨーク(New York)へ向かっていたタイタニック号が氷山に衝突し、大西洋に沈んで乗員乗客1517人が亡くなった事故当時、ディーンさんは生後わずか9か月で、最年少の乗客だった。

 ディーンさんの一家は米カンザス(Kansas)州へ渡って、たばこ屋を開店するために乗船していた。

 ディーンさんは布袋にしっかりくるまれて救命ボートにくくりつけられ、母親と兄と一緒に助かったが、父親のバートラム・フランク(Bertram Frank)さんは凍てついた大西洋で藻くずとなった乗客の1人となった。

 事故後、ディーンさんは家族とともにサウサンプトンに戻ったが、8歳の頃までは、タイタニック号に自分が乗船していたとは知らされていなかった。その後、生涯のほとんどをサウサンプトンで過ごした。(c)AFP