【10月24日 AFP】(一部更新、写真追加)米国家運輸安全委員会(National Transportation Safety BoardNTSB)は22日、乗員乗客149人を乗せたノースウエスト航空(Northwest Airlines)機が目的地の空港を240キロも通り過ぎたと発表した。

 NTSBによると21日、カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)からミネソタ(Minnesota)州のミネアポリス・セントポール国際空港(Minneapolis-St Paul International)に向かっていたエアバス(Airbus)A320型機が高度1万1300メートルを飛行中、78分間にわたり管制官との交信が途絶えた。

 米国紙ミネアポリス・スター・トリビューン(Minneapolis Star-Tribune)によると、ハイジャックの恐れもあるとして空軍機4機が緊急出動に備えて待機した。しかしその後交信が回復すると、この航空機は目的地の空港を240キロも通り過ぎていたことが分かった。

 NTSBは声明で、「連邦航空局(Federal Aviation AdministrationFAA)によると、乗員らは連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)と空港警察の事情聴取を受けた。乗員たちは航空会社の経営方針について白熱した議論になり、注意がそがれたと話している」と発表した。

 NTSBも乗員から事情を聞くとともに、ボイスレコーダーとフライトレコーダーを分析することにしている。

■原因は居眠りか

 パイロットたちの説明を疑問視する声も多い。元連邦航空局の調査官、ビル・ヴォス(Bill Voss)氏はAFPに対し、パイロットが疲労で居眠りしていた可能性もあると語った。

 ヴォス氏によると2008年2月にハワイ(Hawaii)の格安航空会社、ゴー!(Go!)の航空機がホノルル(Honolulu)の空港を24キロ通り過ぎるというトラブルを起こしており、この時のパイロットは後になって居眠りをしていたことを認め、解雇されている。

 しかし、今回トラブルを起こした便のパイロットの1人、リチャード・コール(Richard Cole)氏は23日、ABCテレビに対し、「われわれの中に居眠りをしていた者はいないことは保証できる」と語った。

 この航空機は1時間以上遅れて目的地に着陸したが、乗客たちは着陸後に警察官が乗り込んでくるまでこの出来事に気づかなかったと話している。ノースウエスト航空も独自の調査を始め、調査期間中はこの便のパイロットを乗務停止にすると報じられている。(c)AFP