【10月19日 AFP】欧州で農産物の価格が著しく下落している事態を受け、19日に開かれた欧州連合(EU)農相理事会で、欧州委員会(European Commission)のマリアン・フィッシャーボエル(Mariann Fischer Boel)委員(農業・農村開発担当)は、酪農家らに2億8000万ユーロ(約380億円)規模の援助を支出する意向を発表した。

 ボエル委員は「わたしのポケットを空にして、農業生産者たちに支給する。これが出せる額すべてだ。わたしは別にスイスやどこかに特別な口座をもっているわけではない」と報道陣に述べ、EU機関からの支援はこれ以上期待できないことを示唆した。

 ボエル委員の発表に先立ち、EU加盟国27か国のうちドイツ、フランスを含む21か国がEUの2010年予算からの援助を求めていた。どういった形態の援助になるかについては触れなかったボエル委員は「『牛乳資金』とでもなんとでも、好きに呼べばよい」と述べたが、援助の割り当てについてはEU各国政府ではなくEUが決定することになるだろうと強調した。

 EUは農相理事会は08年11月、牛乳生産割当を2014~15年に全面廃止する方向で、生産量を毎年1%ずつ引き上げていくことで合意した。しかし金融危機とそれに続く経済不況で市場の需要は低く、酪農製品の価格は急落。酪農家らはここ数か月間、EUからの支援や供給制限を求めて大規模な集団抗議行動を行ってきた。欧州での牛乳の価格は2007年と比べて、最悪のケースでは半分以下に下がっている。(c)AFP