【10月17日 AFP】『吸血鬼ドラキュラ(Dracula)』が100年以上の時を経て復活する。1897年に出版されたこの怪奇小説の古典の続編が、今月、欧米各国で同時発売されるのだ。

 続編のタイトルは『Dracula: The Un-Dead』。約500ページに及ぶこの大作は、オリジナル原作者のブラム・ストーカー(Bram Stoker)の子孫にあたるダクレ・ストーカー(Dacre Stoker)氏(51)と、ドラキュラ研究家のイアン・ホルト(Ian Holt)氏(39)の共著だ。

 吸血鬼と聞いて誰もが思い浮かべるのは、ストーカーの原作をもとにした映画で俳優ベラ・ルゴシ(Bela Lugosi)が演じたハンサムなドラキュラ伯爵のイメージだろう。だが、本当のドラキュラはまったく違っていると、ホルト氏は指摘する。「猫背の年寄りで、吐く息がくさくて、手のひらには毛が生えている。墓から出た時は死臭を漂わせている」。ホルト氏とダクレ・ストーカー氏は、続編でオリジナルの吸血鬼のキャラクターを忠実に復活させることを目指したという。

 最初に『吸血鬼ドラキュラ』の続編を書くことを考えついたのは、ホルト氏だった。原作について調査を進める中、ドラキュラ伯爵のモデルとして知られるルーマニア・トランシルバニア地方のワラキア(Wallachia)公ブラド3世(Vlad III)の子孫に会い、吸血鬼の足跡を追って欧州全土をめぐり歩き、専門家の話を聞き、トランシルバニア・ドラキュラ協会( Transylvanian Society of Dracula)にも参加したという。

 そして2003年、続編を書くにあたりストーカー家から了承を得ることを思いつき、その後はストーカー家の子孫の1人であるカナダ人のダクレ・ストーカー氏の協力を得るに至った。なお、オリジナルの著作権は20世紀前半にすでに消滅している。

 続編はオリジナル作品の結末から25年後の1912年が舞台。物語にはおなじみのドラキュラのほか、スコットランドヤードの刑事やレズビアンの吸血鬼伯爵夫人らの新キャラクターも登場する。

 著者の2人は現時点では詳細を明かしていないが、同作の映画化の話も進んでいるという。ちなみに、もしキャスティングに口をはさめるなら、ドラキュラはジョニー・デップ(Johnny Depp)、そしてレズビアンの伯爵夫人にはキャサリン・ゼタ・ジョーンズ(Catherine Zeta-Jones)がご希望だそうだ。(c)AFP/Claire Rosemberg