【10月15日 AFP】国交樹立に向けた合意文書に10日に署名したばかりのアルメニアのセルジ・サルキシャン(Serzh Sarkisian)大統領は14日、トルコ北西部の都市ブルサ(Bursa)を訪問し、トルコのアブドラ・ギュル(Abdullah Gul)大統領とともに2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)の地区予選をともに観戦した。

 サルキシャン大統領は、試合を行った両国の外相や2007年8月以来両国の仲介役を務めてきたスイスの外相のほか、欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ(Michel Platini)会長らとともに観戦に臨んだ。
 
 外交官らによると、サルキシャン大統領はギュル大統領に「非常にうちとけた雰囲気」で迎えられたが、試合前にアルメニア国歌が流れるとスタジアムは激しいブーイングに包まれ、両国の血塗られた歴史の克服が前途多難であることを匂わせた。

 トルコとアルメニアの敵対関係は、第1次世界大戦にまでさかのぼる。アルメニア側は、オスマン帝国によって同大戦中にアルメニア人150万人が「虐殺」されたと主張しているが、トルコ側はいっさい否定している。

 しかし国際社会の支援を受けて、両国首脳は10日、歴史的和解に向けた国交正常化の合意文書に調印した。

 過去2人のアルメニア大統領が国際行事のためにトルコを訪問したことはあるが、二国間の外交で訪れたのはサルキシャン大統領が初めて。前年9月、W杯予選で両国による第1戦がアルメニアで行われた際、ギュル大統領はトルコ大統領として史上初めてアルメニアを訪問、試合を観戦したが、サルキシャン大統領のトルコ訪問はこのときの返礼となった。

 試合は2-0でトルコが勝利したが、両国ともすでに本大会出場からもれているため、試合結果に大きな意味はなかった。サルキシャン大統領はトルコが得点した際にも、喜ぶギュル大統領の横で笑顔を絶やさず、その後も2人は話がはずんでいる様子だった。

 今回の観戦は和解ムードを盛り上げる目的で演出されたが、国粋主義的なトルコファンによる反発を警戒し、トルコ当局は厳戒態勢で警備に当たり、観衆にも厳格な規則を課した。(c)AFP/Hande Culpan and Mariam Harutunian