【10月15日 AFP】北極の氷冠は20~30年後の夏季には完全に消えてなくなる――。英ケンブリッジ大学(Cambridge University)の研究チームがこのような研究結果を発表した。

 英国の極探検家ペン・ハドー(Pen Hadow)氏率いる3人の英国人調査隊は北極の春にあたる3~5月、73日間にわたり北極の氷冠に関する調査を行った。ハドー氏ほか2人の隊員アン・ダニエルズ(Ann Daniels)氏とマーチン・ハートリー(Martin Hartley)氏は、カナダ北部から全長450キロのルートの氷冠上をスキーで移動しながら、6000か所以上で氷の厚さと密度、表面上の積雪の深さなどを計測し、天気と海水温を記録した。その結果、氷盤の平均の厚さは1.8メートル、その下の圧縮された氷部分も含めると平均4.8メートルだった。

 ケンブリッジ大のチームは調査隊が収集したデータを分析し、約10年で氷冠に穴が開いて海のようになり、20~30年で夏季の氷冠は完全に消えると結論づけた。

 研究を率いるピーター・ワドハムズ(Peter Wadhams)教授は「1.8メートルは1年ものの氷としては標準的だが夏に解けやすい。また、(その下の)多年かかってできた氷の層が急速に解けている」と指摘。さらに、氷冠の大部分は1年ものの氷だけが覆うようになってしまっており、これがより解けやすいことは明白で、このまま進むと夏ごとに海洋部分が広がっていき、夏季の氷冠は完全になくなると予測している。

 世界自然保護基金(World Wide Fund for NatureWWF)の気候変動上級顧問Martin Sommerkorn博士は研究について、北極の氷冠の融解が予測より速く進んでいることが明らかになったと指摘。世界の人口の4分の1が洪水に見舞われたり、極端な気候変動が起こる可能性があるとし、世界的な対策の必要性を呼び掛けた。(c)AFP/Elodie Mazein