【10月7日 MODE PRESS】ファッション業界で、マッテオ・マルゾット(Matteo Marzotto)を知らない者はいない。前「ヴァレンティノ(Valentino)」会長として2002年にHdPグループから約180億円で買収し、06年に投資ファンドのペルミラ(Permira)に約898億円で売却するという偉業を成し遂げた人物だ。

 そんな彼がこの度、新たなブランドと共にファッション業界に戻ってきた。マルゾットは今年2月、バイアスカットの発明者といわれるマドレーヌ・ヴィオネ(Madeleine Vionnet)が創設したブランド「ヴィオネ(Vionnet)」を買収し、「プラダ(PRADA)」で13年間キャリアを積んできたベテランのラドルフォ・パグリアルンガ(Rodolfo Paglialunga)を新クリエイティブ・ディレクターに起用。10年春夏パリ・コレクション期間中に新作を発表した。

-「ヴィオネ」のどんなところに興味を持ったのですか?

マッテオ・マルゾット(以下M):ブランドの持つ素晴しい歴史とその伝統に興味を持ちました。「ヴィオネ」との出会いは1年半ほど前、それは思いがけない偶然でした。その頃の市場は悲惨な状態でしたが、私は信じて、着実に仕事をしていきました。我々は目立ちたいわけでもなく、ゆっくりと自分たちの仕事をしています。

-クルーズ・コレクションの価格が1000ドル(約9万円)以下ですね。

M:とても良い値段だと思いますよ。この価格帯を維持していきたいです。

-ヴァレンティノと一緒に働いた中で学んだ一番大切なことは何ですか?

M:まずひとつはイメージについて。そしてもう一つは、いかに投資が大切かということについてです。私は、ヴァレンティノの業績が好転する中で、集中し、着実であることを学びました。どんなに小さなビジネスにおいても、売れる製品を作り納品し、お客様にサービスし、正しい商品を、正しい時に正しい価値で提供することが必要です。ヴァレンティノのブランドをリニューアルした時も、今現在もそれは変わりません。

-映画『Valentino: The Last Emperor』についてどう思いますか?

M:まるで映画スターになったような気分ですよ!映画の中で我々は激しく口論していますが、実際は少し違うんです。もっとひどかったからですから(笑)。このドラマはゲームのようなものですが、我々はとても素晴しい時間を過ごしました。本当はとても仲良しなんです。映画の中では“金儲け主義の男”と“アーティスト”という役割だったのです。実際にそんな時期もありましたが、ファッションは、常にお金が儲かるものではないし、生涯続けていけるものでもありません。幸運な人ならそれも可能かもしれませんが、大体の人はお金を失います。私は良い価値観を築けましたし、それで満足したので今ここにいるのです。

-「ヴィオネ」をどのような方法で再生させようとお考えですか?

M:一貫性です。私たちができることをやっていきます。軽率なことをするつもりはありません。考えに考えを重ね、次のステップに進みます。商品にかけるお金を節約したくありませんので、うまく運営していくたいですね。

-新クリエイティブ・ディレクターのラドルフォ・パグリアルンガはいかがですか?

M:彼はとてもスィートな人で、芸術品の一部という感じです。まったく問題ないと思いますよ。(c)Fashion Week Daily/MODE PRESS

【関連情報】
特集:10年春夏コレクション
ヴァレンティノのドキュメンタリー映画上映会、グウィネスら豪華ゲスト出席
ヴァレンティノのドキュメンタリー映画、好調な興行成績を記録