【10月3日 AFP】徹夜で勉強しやすくなり、記憶力が高まり、覚えたことを試験の本番で思い出しやすくなるといった、いわゆる「頭の良くなる薬」が米国の大学生の間で人気だ。この種の薬を服用する学生が急増していることから、将来、大学側は試験前に「ドーピング検査」を実施せざるを得なくなるかもしれない――1日発行の医学倫理問題をテーマにした専門誌「Journal of Medical Ethics」に、こうした「アカデミック・ドーピング」の可能性を指摘する研究論文が掲載された。
 
 論文を執筆したのはシドニー大学(University of Sydney)の心理学者ビンス・カキック(Vince Cakic)氏。同氏によると、全米の大学を対象に調査したところ、全学生の4分の1が中枢神経を刺激するアンフェタミン(商品名「デキセドリン」)やメチルフェニデート(商品名「リタリン」)を学業成績の向上を目的に使用していた大学もあった。

 これらは従来、認知症や注意欠陥多動性障害(ADHD)、ナルコレプシーなどの患者に対して使われてきた薬だ。

 特に入学基準の高い学校では服用する学生の数が多いことが判明したという。現在、学生たちが用いている薬は適度に脳の認知力を高める作用があるとされているが、もっと高い効果を得られる薬が開発されつつあり、将来はこちらの人気が高まる可能性もある。

 脳の認知力を高める薬は、身体的にも精神的にも副作用があり依存症を起こす可能性があるだけでなく、薬の普及を抑制することはほとんど不可能だとカキック氏は指摘する。

「将来の試験会場では、監督官が紙コップを片手に持った学生たちに尿のサンプルを提出するよう求めるといった光景が見られるかもしれない」と同氏は話す。「バカげた考えに思えるかもしれないが、実際にそうなる可能性はかなり高い」(c)AFP