【10月1日 AFP】大型肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(Tレックス、Tyrannosaurus rex)とその近縁種が、寄生虫が原因のトリコモナス病で死亡していた可能性があるとの論文が、30日のオンライン科学誌「PLoS ONE」に発表された。

 米フィールド自然史博物館(Field Museum)に展示されている世界最大のTレックス「スー(Sue)」や米カーネギー自然史博物館(Carnegie Museum of Natural History)が所有するTレックスの骨格標本などには、下あごに複数の穴が開いており、これまでは歯がこすれたため、またはバクテリアに感染したためにできたと考えられてきた。

 だが、米豪の調査チームは今回、穴の位置や特質がトリコモナス病に罹患した現代の鳥類にみられるものと一致している点を指摘、ティラノサウルスの間でトリコモナス病がまん延していたことを示していると考えた。

 トリコモナス原虫は現在では主にハトに寄生するが、ハトには一般的にトリコモナス病の免疫がある。だが、ハトを食べる猛禽には免疫がない。
 
 研究者らは、トリコモナス病はティラノサウルスの間で、別のTレックスに噛まれたり共食いなどをすることで感染が拡大し、時には死に至るケースもあったとみている。

 研究に参加した豪クイーンズランド大学(University of Queensland)のスティーブ・サリスベリー(Steve Salisbury)氏は、「トリコモナスに寄生されると、あごの周囲とのどの内部が病変し、しまいには骨もむしばまれていく。こうなると食べ物を飲み込むことができなくなり、餓死していったのではないか」と話した。(c)AFP