【9月25日 AFP】(一部訂正)世界で成功を収めたアイルランドの「非公式国民飲料」、ギネス(Guinness)ビールは24日、250歳の誕生日を迎えた。生誕の地である首都ダブリン(Dublin)ではブライアン・カウエン(Brian Cowen)首相らも出席してさまざまな記念イベントが開催された。

 1759年に初めてギネスビールを醸造したアーサー・ギネス(Arthur Guinness)の子孫にあたるローリー・ギネス(Rory Guinness)氏(34)は同日、地元ラジオ局に対し、「ギネス一族にとっても、ギネス社にとっても、今日はすばらしい日です」と語った。

「ギネスがここまでになったのは、すばらしい大麦や水などの原材料をもたらしてくれたアイルランドで生まれたからです。アイルランドと、長い歳月の間に積み重ねてきた歴史と科学的な取り組みがこの飲み物をここまで完成させたのだと思います。今日はすべてのパプをはしごして1パイント(約570cc)ずつ飲みたいですね」

 市内の33のパブで音楽ライブが催された。市の最大の観光名所となっているギネス・ストアハウス(Guinness Storehouse)では、カウエン首相が「アイルランドの誇り」としてギネスビールを称賛するスピーチを行い、午後5時59分に歌手トム・ジョーンズ(Tom Jones)の歌でメイン・パーティーへと突入した。このほか、歌手ローナン・キーティング(Ronan Keating)もパフォーマンスを披露した。

■世界で毎日570万リットルが飲まれる

 洗礼親であるアーサー・プライス(Arthur Price)キャシェル大主教(Archbishop of Cashel)からわずかな財産を残されたアーサー・ギネスは、9000年の賃貸契約でダブリン(Dublin)の使われなくなっていたセント・ジェームズ・ゲート醸造所(St. James's Gate Brewery)を借り、そこで最初のギネスビールを作った。アイルランド史上最大の商業的成功はこうして始まった。

 アーサー・ギネスは1761年、オリビア・ウィットモア(Olivia Whitmore)にこの醸造所で結婚を申し込んだ。2人は21人の子どもをもうけ、うち10人が成人した。ローリーさんはギネス一族としてそれ以来初めて、同じ醸造所で将来の伴侶、ミラ(Mira)さんにプロポーズした。

 1997年に合併によってギネスが飲料大手ディアジオ(Diageo)の傘下に入るまで、ギネス家は6世代にわたり醸造所の経営に携わってきた。ローリーさんの父親、ベンジャミン・イーヴァー(Benjamin Iveagh)氏が創業家から出た最後の社長となった。

 アイルランドで「アンクル・アーサー(Uncle Arthur)」と呼ばれるアーサー・ギネスが創立した同社は、安定した雇用、社員が1日2パイント(約1リットル)まで無料で飲めるビール、社員旅行と会社独自の医療保険制度、競技場やプールなどのスポーツ施設でも知られるようになった。

 同社は国内で2200人を直接雇用しており、間接的なものも含めると約2万人が同社関連の仕事をしているとみられる。現在、世界150か国で毎日1000万パイント(約570万リットル)のギネスビールが消費されている。(c)AFP/Andrew Bushe

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