【9月24日 AFP】これまで月の土壌は乾燥しているものと考えられていたが、月面に水分子が存在している証拠が、インドの無人月探査機「チャンドラヤーン1号(Chandrayyan-1)」など3つの探査機ミッションで観測され、米科学誌サイエンス(Science)最新版に3つの論文が発表された。

 論文の1つを発表した、テネシー大学(University of Tennessee)のラリー・テーラー(Larry Taylor)氏の研究チームは、米航空宇宙局(NASA)が月の鉱物組成をマッピングするために開発し「チャンドラヤーン1号」に搭載された装置「M3(Moon Mineralogy Mapper)」を用いて新たなデータが得られたと述べた。

 M3は月面から反射される太陽の反射光からの反射をもとに月の土壌に含まれる成分を解析する装置。テーラー氏の研究チームは、M3を使用して反射光の波長を分析し、酸素と水素の化学結合を観測した。同チームは、これが月面に水が存在する証拠になると述べた。

 月に存在する石と土は、約45%の酸素を含有している。しかし、観測された水素の出どころは特定されていない。

 テーラー氏の研究チームによると、水素が「太陽風」と呼ばれる現象で飛来してきた可能性があるという。太陽風は、太陽で核融合が起きる際に太陽から放出される水素イオン(H+)原子を主な成分としている。同チームは、月の土壌1トンあたり25%の水が含まれていると推計した。

 M3と同様の機器を使用したほかの2つの調査でも、水の存在を示す化学的な特徴が発見された。

 そのうちの1つは、約10年前に土星へ向かう途中、月の付近を通過した土星探査機カッシーニ(Cassini)から得られたデータで、もう1つは、2005年に彗星(すいせい)「Tempel-1」に向けて発射された彗星探査機ディープインパクト(Deep Impact)からのデータ。ディープインパクトはM3同様の装置を用いて、月の付近を通過する際にデータを収集していた。

 また、1960年代にアポロ(Apollo)が持ち帰った月の石や土にも水の痕跡が含まれていた。しかし、石や土を輸送するための容器が密閉されていなかったために、これまでは地球上の水が混入したとみられていた。(c)AFP