【9月24日 AFP】サウジアラビアの紅海(Red Sea)沿岸の街ツワル(Thuwal)で23日、世界レベルの技術研究と女性の教育機会向上を目指した同国史上初めての共学校、アブドラ王立科学技術大学(King Abdullah Uinversity for Science of and TechnologyKAUST)の開校式が行われた。

 開校式には、アンドルー英王子(Prince Andrew)、ヨルダンのアブドラ・ビン・フセイン国王(King Abdullah II)、レバノンのフアド・シニオラ(Fuad Siniora)首相、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領、フィリピンのグロリア・マカパガル・アロヨ(Gloria Macapagal Arroyo)大統領、トルコのアブドラ・ギュル(Abdullah Gul)大統領らが出席した。

 サウジアラビアのアブドラ・ビン・アブドルアジズ(Abdullah bin Abdul-Aziz)国王は、「(大学の設立は)25年来の夢だった」と話した。同国は非常に保守的なイスラム教国として知られるが、国王は「信仰と科学は相容れないものではない。各大学は、過激主義者との戦いの最前線に立たなければならない」と語った。

 このプロジェクトには潤沢なオイルマネーから数十億ドルが投じられ、一流の教授陣を招聘(しょうへい)し、およそ15億ドル(約1360億円)相当の最先端の機器を取りそろえ、世界最速レベルのスーパーコンピューターも導入した。なお、同大は修士課程と博士課程のみの設置だ。

 同大は、石油に依存する同国の近代化の要として位置づけられていることもあり、開校式は建国記念日に合わせて行われた。また、立地がジッダ(Jiddah)の北80キロの砂漠にあることから、「おおもとの土台から建設された研究大学としては世界初」との声もある。

 同国の政府関係者はコメントを避けているが、同大はサウジ史上初めての共学校でもある。とはいえ、宗教に重点が置かれ世界に遅れをとる同国の教育が、一流の機器や教授陣による世界レベルの研究によって変革されるかどうかは、まだ不透明だ。

 同大の新学期は既に数週間前に始まっているが、研究で使用する基本的な機器もいまだに設置されていないと、教授らは口をそろえる。また、大学のコンピューターシステムは今も政府のインターネット検閲を受けており、不都合なメディアや政治的なウェブサイトが閲覧できない状態となっっている。また、学生らは、報道機関のインタビューには応じないよう命じられているという。(c)AFP/Paul Handley