【9月18日 AFP】バングラデシュの首都ダッカ(Dhaka)にあるダッカ動物園(Dhaka Zoo)で、今年に入って21頭もの動物が相次いで死亡し、管理能力に重大な欠如があったとして上級飼育員2人が停職処分を受ける事態となっている。この動物園をめぐっては以前から、おりが不潔、経験不足の飼育員が多い、設備が貧弱などの悪評がたえなかった。

 今年に入って死亡した同園の動物は、ベンガルトラ、ライオン、シマウマ、バクなど。バングラデシュ政府が前年、80万ドル(約7300万円)をかけて公費で南アフリカから購入したばかりの38頭の動物の中からも、キリン、インパラ各1頭とレイヨウ2頭が死亡した。

 バングラデシュの野生動物保護活動の第一人者、レザ・カーン(Reza Khan)氏はAFPの取材に、この死亡数の多さは「異常」で、飼育環境は動物に対する「拷問」だと訴えた。カーン氏によると、ダッカ動物園の経営者らは、飼育している動物に適した野生環境や食習性についてまるで無知で、園内のおりや柵も国際基準を満たしていないという。

 自然保護団体「バングラデシュ・ワイルドライフ・トラスト(Wildlife Trust of Bangladesh)」のアンワルル・イスラム教授も、動物園には野生動物の専門家がいないと指摘する。「動物園は野生動物を飼う場所で、家畜を育てる場所ではない」

 事実、ダッカ動物園はこれまで世界動物園水族館協会(World Association of Zoos and Aquariums)への加入申請を7回行っているが、「基準を満たしていない」との理由ですべて却下されている。

 動物園の唯一の獣医は、動物たちの死因は自然死だと主張しているが、動物園のスタッフの経験が浅く、設備に不備がある点は認めている。

 75万3000平方メートルの敷地に約130種・2000頭の動物が飼育されているダッカ動物園は、人口1200万人を擁する大都市ダッカでは数少ないオープンスペースの1つ。(c)AFP/Julie Clothier