【9月15日 AFP】米国が中国製タイヤに上乗せ関税をかける緊急輸入制限措置(セーフガード)を発動したことに対し、中国が世界貿易機関(WTO)に米側との協議を要請した問題で、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は14日、断固として米国の通商権を貫く姿勢を示した。

 一方でオバマ大統領は、今回の措置が中国との貿易戦争に発展するのではないかとの懸念を払しょくし、側近もその可能性を否定した。

 米国は前週、輸入が急増している中国製タイヤに対し、最大35%の上乗せ関税をかけることを決定した。米中両国とも外交関係の改善を望むなかで、関係を悪化させるのではないかとの懸念が出ている。

 中国は米国の措置に反発し、WTOに提訴したが、オバマ大統領は14日、金融危機から1年の節目に米ニューヨーク・ウォール街(Wall Street)のフェデラル・ホール(Federal Hall)で行った演説で、「誤らないでほしいが、当政権が取り組んでいるのは、貿易拡大と新たな通商協定の締結だ」と述べ、セーフガード発動は保護主義の乱用だという批判を明確に否定した。

 さらに「それはわが国の経済の将来にとって必要不可欠だ。しかし、締結された通商協定が順守されなければ、貿易制度は機能しないだろう。この週末に起こったように、既存の協定の条項をわれわれが発動するとき、それは挑発を狙ったり、自滅的な保護主義を促進するためではなく、開かれた自由な貿易制度を維持する一端を通商協定の順守が担っているからだ」と述べた。(c)AFP/Stephen Collinson