【9月15日 AFP】ナイジェリア北部、イスラム教徒が住民の大半を占める街カノ(Kano)で、未婚の男たちが「独身男ハンター」につかまるまいと、必死で逃げ回っている――。断食月ラマダン(Ramadan)終盤の数日間にこの地域でだけみられるユニークな行事の一幕だ。

 アウワル・サニ(Auwalu Sani)さん(40)、またの名を「ナラコ」が、お守りを散りばめた動物の皮を頭からかぶり、独身男性をラフィアで作ったロープの首縄で「捕獲」せんと、夜の街をうろついている。その後ろを、太鼓たたきや住民らの一団が続く。

 現地のハウサ語で「独身男ハンター」を意味する「ナラコ」は世襲制で、サニさんはこの役を20年前に父親から引き継いだ。

 一行は独身男性がいる家に到着すると、ナラコの手下2人が独身男を家から引きずり出す。そして、ナラコがこの男性に首輪をはめ、顔に青いインディゴ染料を塗りたくる。家の前では太鼓たたきたちが、ゴングやティンパニといった楽器をにぎやかに鳴らし始め、それに合わせて若い男たちや子どもたちが熱狂的に歌い踊る。

 ナラコがトレードマークの角笛を吹き、独身男を「まったく尊敬に値しない役立たずの犬」に例えてからかう古い歌を歌い始めると、熱狂は最高潮に達する。

 ナラコは、こうした独身男たちを引き連れ、さらなるハンティングを続ける。

 前年には14人を「捕獲した実績」を持つナラコは、「この縄には特別な効力があります。これにつかまった獲物は、次回のラマダンまでには結婚するのです」と話した。

 200年前から行われているというこの祭りの目的は、独身男性の結婚を促し、コミュニティー内に不道徳がはびこるのを防ぐことにあるという。カノのかつての首長アル・マイサンゴ(Alu Maisango、1894-1901)が治世中に力を入れ、公認されたというこの祭りは、ハウサ語では「カムン・グワウロ(独身男の捕獲、の意)」と呼ばれている。(c)AFP/Aminu Abubakar