【9月12日 AFP】和歌山県太地町で例年行われているイルカ漁を隠し撮りした米国のドキュメンタリー映画が海外で今年初頭に公開されて以来、この町のイルカ漁に対する国際的な批判が高まっている。

 映画の題名は『ザ・コーブ(The Cove、入り江)』。公開後は世界各地で賞を受け、大きな反響を呼んだ。西オーストラリアのブルーン(Broome)市は映画の公開後、イルカ漁に抗議して太地町との姉妹都市提携の停止を決めた。

 一方、太地町では、海外の動物保護団体から非難を受けながらも漁が続けられている。9日には1日の解禁後初めてバンドウイルカ100頭、マゴンドウクジラ50頭を捕獲した。

 捕獲したイルカのうち50頭は国内の水族館に販売し、残りは海に戻す。クジラの肉は食用として売る予定だという。町の関係者は、「この日は1頭のイルカも殺さなかったが、過去にも資源管理の観点から独自の判断でイルカを海に戻したことがあり、国際的な圧力に屈したのではない」と語った。また文化の違いがあることを考えてほしいと述べ、地域の伝統である漁への理解を訴えた。

 大型クジラ類以外の捕獲は国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)が禁止する商業捕鯨の対象外。日本では、水産庁が年間の捕獲枠を決めており、今年、太地町はイルカを含むイルカなど約2300頭の捕獲が認められている。 (c)AFP