【9月12日 AFP】南アフリカのスポーツ・余暇相が11日、両性具有と報じられたキャスター・セメンヤ(Caster Semenya)の競技生活が妨げられた場合、「第3次世界大戦」だと語った。

 セメンヤのテストにかかわった匿名の関係者が、同選手が男性器と女性器を持ち、子宮や卵巣はないと語ったと豪デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙が報道したことに対し、マケンケシ・ストフィーレ(Makhenkesi Stofile)スポーツ・余暇相は、「第3次世界大戦ものだと考える。そのような決定に対しては最高レベルの抗議を行う」と語っている。

 南アフリカ通信(SAPA)は、セメンヤに対する国際陸上競技連盟(International Association of Athletics FederationsIAAF)の決定が下される11月を前に、南アフリカ政府が独自の検査を行うと報じている。ストフィーレ・スポーツ・余暇相は「われわれは11月まで待てない」と語っている。

 南アフリカ北東部にある地方の村で育ったセメンヤは、プレトリア(Pretoria)で12日に開催されるクロスカントリー選手権の4キロメートルに出場する予定だったが、同選手のコーチは出場を辞退したことを明らかにしている。

 マイケル・セメ(Michael Seme)コーチは「われわれは明日(12日)キャスターが走らないという決定を下した」と語り、同選手の「気分が優れない」と付け加えている。

 IAAFとセメンヤの家族は、報道合戦につながったデーリー・テレグラフ紙の報道に怒りをあらわにしている。

 セメンヤの祖母は南アフリカのタイムズ(The Times)紙に対し「わたしは少女のころから彼女を育てており、彼女が女性であることに疑いはない。家族の一員として、わたしたちは誰が何を言おうが気にしないし、彼女が国際舞台で走れなくなっても構わないが、彼女の陸上の才能を常にサポートしていく」と語っている。

 IAAFは、デーリー・テレグラフ紙の報道への関与を重要視しておらず、11日に声明で「われわれはこれがIAAFの公式な見解ではないことを強調したい」と発表している。

 南アフリカのジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領は11日、報道はセメンヤのプライバシーを侵害したとの見解を示し、メディアを批判している。

 ズマ大統領は「われわれは不幸な状況に直面している。この国はプライバシーと人権の尊重を宣言しており、これらの原則と価値観に反する動きに対しては何らかの行動を起こす」と語っている。

 南アフリカの与党アフリカ民族会議(African National CongressANC)は、今回の報道を「侮辱的かつ屈辱的」と断じ、今回の騒動に対し法的措置を検討するというスポーツ・余暇相の発言を歓迎している。

 ANCは声明で「南アフリカ政府には、キャスターを権利侵害から守るためにすべての法的手段を模索する権利がある。われわれは南アフリカ政府と南アフリカ陸上連盟(Athletics South AfricaASA)に対し、キャスターの人権の侵害と非常識な嫌がらせを阻止するよう要請する」と発表している。(c)AFP