【9月6日 AFP】約40億ドル(約3700億円)にのぼるブラジルの次期戦闘機の契約をめぐり活発な「商戦」がくり広げられているが、技術移転に積極的なフランスの「ラファール(Rafale)」が最有力だとみられている。

 ブラジルは時代遅れとなった戦闘機の後継として新しい戦闘機36機を配備する予定で、現在、機種選定を進めている。次期戦闘機の契約をめぐりロビー活動を展開しているのは、フランスのダッソー・アビアシオン(Dassault Aviation)、スウェーデンのサーブ(Saab)、米国のボーイング(Boeing)の3社。

 ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領は2日、AFPの単独インタビューに応じ、ダッソーが技術移転を提案していることで同社のラファールがサーブの『グリペン(Gripen)』やボーイングの『F/A-18 スーパーホーネット(F/A-18 Super Hornet)』と比較して、とりわけ有利な立場に立ったと述べた。

 さらに同大統領は、最終決定には空軍と議会の承認が必要だと慎重な姿勢を示しつつ、ブラジルと全分野で技術を共有する用意が出来ている唯一の重要な国だとしてフランスを称賛した。

 ブラジルで軍事誌を発行する軍事専門家ネルソン・デュリング(Nelson During)氏によると、ダッソーが優位に立っているのは、ボーイングやサーブとは対照的に、制約を課さずにすべての技術をブラジルに開示する姿勢を見せたからだと指摘する。

 デュリング氏は、空軍は3機種の評価結果をブラジルの「飛行士の日(Day of the Aviator)」の10月23日に政府に送り、国防会議は速やかにそれを承認するとみており、最終的な結論は10月に出ると考えている。

 しかしフランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領が6日からブラジルを訪問し、9月7日のブラジル独立記念日の式典にも参加することから、新機種決定の発表が予定より早まる可能性もあると指摘する関係者もいる。

 ブラジルがラファールの採用を決めた場合、同機が海外で販売される最初のケースとなる。(c)AFP/Claire de Oliveira