【9月6日 AFP】エルサルバドルの首都サンサルバドル(San Salvador)郊外で同国の麻薬犯罪組織を題材にした映画を制作したフランス人ジャーナリストが射殺された事件で、殺人容疑で逮捕された犯罪組織のメンバーが釈放されたことが明らかになった。警察が5日発表した。

 逮捕されていたのは、凶悪な麻薬犯罪組織「マラ18(Mara 18)」のメンバー。マラ18は麻薬密輸や恐喝などを行う犯罪組織で、そのメンバーは身体に入れ墨を入れているのが特徴。

 殺害されたクリスチャン・ポベタ(Christian Poveda)氏は、マラ18をテーマにしたドキュメンタリー映画『La Vida Loca』を、サンサルバドル郊外の街ラカンパネラ(La Campanera)で撮影していた。この街は、「マラス」と総称される複数の犯罪組織が激しい縄張り争いをくり広げていることで知られる。同作品は完成しており、今月30日に欧州各地で公開される。

 ポベタ氏は2日に殺害され、同事件の容疑者とみられた男は3日に逮捕されたが、警察当局は「殺害の関与を示す証拠がない」として釈放した。

 ポベタ氏はスペイン系フランス人のジャーナリストで、エルサルバドル内戦(1980~1992年)を取材し、2003年からは同国に永住していた。夫人はエルサルバドル人。(c)AFP