【9月5日 AFP】ウシのゲップには温室効果ガスであるメタンガスが含まれているが、オーストラリアの研究チームは4日、海草をウシの飼料にすることでこのメタンガスの放出量を減らす研究に着手したことを明らかにした。

 ジェームズクック大学(James Cook University)のトニー・パーカー(Tony Parker)氏によると、世界で排出されているメタンガスの20パーセントが家畜のウシから発生しており、その主な原因は飼料にあるという。

 世界のウシの少なくとも50%が途上国で飼育されているが、その大半は熱帯地域にあり牧草の質は冬になると低下し、ウシから発生するメタンガスが増える傾向がある。研究チームによると藻などの海草は陸上の草よりも繊維質が少ないうえにでんぷんが多いので牧草よりはるかに消化がよい。このため海草をウシの飼料にするとメタンガスの放出を抑制できるという。

 オーストラリアで飼育されている1億2000万頭のヒツジ、ウシ、ヤギなどの家畜が出すメタンガスは、1年間に同国で放出される温暖効果ガスの約12%を占め、温暖効果ガスの放出源として同国で3番目に大きい。

 さらに海草をウシの飼料にすればもう1つメリットがある。海草は農業廃水に含まれる窒素やリンなどを吸収する性質があるが、沿岸部の養殖業者がこの目的で海草を利用した例はほとんどなかった。大量に発生する海草を処分する方法がなかったからだ。

 今週シドニー(Sydney)でグレートバリアリーフの生態系は温暖化と化学物質を含む廃水の影響で深刻な影響を受けるおそれがあるとの報告書が発表された。

 窒素などの栄養分を大量に含む農業廃水はその原因の1つだと指摘するパーカー氏は自らの研究について「私はこの研究を『リーフ・アンド・ビーフ』プロジェクトと呼びたい。海草を利用して畜産業者と水産物の養殖業者を豊かにし、グレートバリアリーフの環境も守れるという壮大な循環につながる可能性があるからだ」と述べた。(c)AFP