【8月31日 AFP】パンアメリカン(Pan Am)航空機爆破事件でスコットランドで服役中だったリビア人受刑者の釈放をめぐり、英政府とリビアとの間で石油開発に絡んで密約があったとの英国内報道について、ジャック・ストロー(Jack Straw)司法相は30日、貿易交渉は一切なかったとして報道内容を否定した。

 英日曜紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)は同日の紙面で、英政府が2年前、「英国のばく大な利益」を理由に、ある時点でアブデルバセト・アルメグラヒ(Abdelbaset Ali Mohmet Al-Megrahi)元受刑者をリビアに送還する決定を下したと報じた。

 同紙が入手した文書によると、ストロー司法相が2007年に、リビア人受刑者を本国で服役させる身柄引き渡し協定からメグラヒ元受刑者を除外しようとし、その後リビア政府との「より広範な交渉」のため、この試みを中止したとされる。同紙は、この時期、リビアの大規模油田の開発をめぐって同国政府と英石油大手BPとの交渉が行き詰まっていたとしているが、後日、開発は承認された。

 これについて、ストロー司法相は英スカイニューズ(Sky News)に対し、身柄引き渡し協定はリビアに核兵器開発計画を放棄させ国際社会に復帰させる取り組みの一環だったと述べ、報道内容は「まったくの事実無根だ」と語った。

 また、受刑者の身柄引き渡しについてはスコットランド自治政府に拒否権があり、実際に自治政府はメグラヒ元受刑者の「温情的措置」による釈放のような例は拒否していたと強調した。(c)AFP