【8月31日 AFP】30日に投開票が行われた衆院選での民主党(Democratic Party of JapanDPJ)の大勝利は、日本の戦後政治における新時代の幕開けを告げる出来事となった。だが、政権担当経験のない民主党を中心とした新政権は、その勝利の余韻に浸っている暇はない。

 大嶽秀夫(Hideo Otake)京都大学(Kyoto University)名誉教授(政治学)は、「現在、われわれは戦後日本政治の大転換を目撃している」とし、野党党首が選挙で与党を破って首相に就任するのは、50年以上におよぶ自民党(Liberal Democratic PartyLDP)支配が始まった1955年以降初めてのことだと指摘した。

 長年日本政治を見てきた米コロンビア大学(Columbia University)のジェラルド・カーティス(Gerald Curtis)教授(政治学)も、「50年続いた日本政治の1つの時代の終わりだ。自民党は敗北したのではなく、崩壊したのだ」と語った。カーティス教授は、31日から日本政治の新しい時代が幕を開けるが、今後の動きについては誰も確かなことは分かっていないとした上で、「民主党が直面する最大かつ最も差し迫った問題は、自らの党をどうまとめていくかだ。民主党には与党経験がある人物がほとんどいない」と強調した。

 学習院大学(Gakushuin University)の平野浩(Hiroshi Hirano)教授(政治学)は、停滞が続く日本経済や戦後最悪となった5.7%の失業率などを挙げ、今回の地滑り的勝利は、民主党にとって今後の困難な道のりの始まりにすぎないと述べた。

 早稲田大学(Waseda University)の山本武彦(Takehiko Yamamoto)教授(国際関係、安全保障)は、日本は活力を維持するために大規模な手術が必要だが、民主党は財政赤字への疑問にこたえる必要があると指摘する。

 同教授は、民主党が公約実現のための財源を確保できなければ、日本は米国が苦しんできた財政赤字と貿易赤字という「双子の赤字」に直面し、世界の二流国になってしまうと強調した。

 前述のカーティス教授は、「民主党が政権運営の成功を望んでいる背景にはたくさんの理由がある。来年には参院選がある」と指摘し、民主党に無駄にする時間はないと強調した。(c)AFP/Kyoko Hasegawa