【8月27日 AFP】砂場で浮かれる犬、50メートルプールで遊ぶ犬、木陰で横になる犬――。灼熱のイタリアの夏を逃れた犬専用のリゾートが、ローマ(Rome)にある。

 ローマの多くの娯楽施設では犬は立ち入り禁止だが、テベレ(Tiber)川沿いにある敷地面積1万5000平方メートルの「ビラバウ(Villa Bau)」では犬が王様だ。

「ここでは犬がお客様で、飼い主はただのゲストよ」と利用者は語る。

 価格はシーズンパスが15ユーロ(約2000円)。各セッションを利用するにはさらに4ユーロ(約500円)ずつ支払う。

 プールの長さは人間が競技で使用する50メートル。しかし深さは50センチしかない。

 シャワーで涼むもよし、特設コースを走り回るもよし、その後は飼い主とバーでのんびり過ごすこともできる。

 6月のシーズン開始から約2000匹がここを訪れている。

「もう夏休みも終わりだけど、この公園は素晴らしいわ。アーロンも他の犬たちと夢中になってるもの」。ハンガリアン・ポインターのアーロン(Aaron)がプールで遊ぶ姿を見ながらデッキチェアに横たわったバーバラさんは語る。

「アーロンをドッグシッターと家に置いていったわ。私たちと一緒に旅行に連れて行くなんてできなかったもの」と昔を振り返る。

 ローマがあるラツィオ(Lazio)州だけでなく、イタリア国内では犬を砂浜に連れて行くと罰金を科せられる地域がほとんど。愛犬家たちは長年にわたりこの規則に異議を唱えてきた。

「夏の間、犬を置き去りにすべきではないと言われるけど、イタリアではホテルにもレストランにも犬を連れて行けない」とこぼす人もいる。

 動物愛護団体「Italian Association for the Defence of Animals and the Environment」によれば、休みの間、飼い主に置き去りにされるペットは年間数百匹にのぼる。

 ビラバウは、来年はオープンを早めて、飼い主のためのプールを用意し、さらに多くの人が利用できるようにバーも拡張するなど、人間も快適に過ごせるような工夫を凝らすという。

 別の利用者はこう語る。「ローマには犬を散歩させる場所がほとんどない。公園は汚くガラスが散乱し、注射器が落ちていることもある。ここは良く手入れされていて、わたしたちにとっても良い場所だ」(c)AFP