【8月24日 AFP】イラク各地で、数十年にわたる戦乱や2003年以降のイラク戦争で使われた軍事車両の残がいから漏れる放射性物質や、数十万トンの地雷が放置され、人々の脅威となっている。イラクのナルミン・オスマン(Narmin Othman)環境相はこのほどAFPとのインタビューで、政府の資金不足や不安定な治安のため、汚染地域の回復が困難な現状を訴えた。

 放射性物質と地雷という2つの脅威は、1980-88年のイラン・イラク戦争、1991年の湾岸戦争、2003年の米軍主導多国籍軍の進攻に始まるイラク戦争などの遺産だ。湾岸戦争やイラク戦争で米軍などが使用した劣化ウランは、がんや出生異常などの健康被害をもたらしているが、調査はほとんど進んでいない。

 地雷については、イラク軍が前年12月、安全上の問題を理由に民間による地雷除去活動を禁止した影響もある。一部住民が掘り起こした地雷を武装勢力に売っているというのが禁止の理由だ。国連(UN)は、民間主導の地雷除去活動を禁止すれば、イラク政府の地雷除去計画に深刻な影響が出ると指摘している。(c)AFP/Aubrey Belford