【8月19日 AFP】ヒンズー教の神ガネーシャ(Ganesh)を「オスカー像風」など特異な姿で描いたインド人の画家が、ヒンズー教の強硬派から度重なる脅迫を受けている。

 画家のスボド・ケルカル(Subodh Kerkar)さん(49)は18日、インド・ゴア(Goa)州の自宅からの電話で次のように語った。「ひどい目にあわせてやるという脅迫電話が何本もかかってきます。お前の指を切り落としてやるぞと言われるんです」

 ケルカルさんは、同州で行われている展覧会で、さまざまなポーズをとるガネーシャの絵を展示している。伝統的なマオリダンスを踊るガネーシャ、ロダン(Auguste Rodin)の「考える人(The Thinker)」と同じポーズをとるガネーシャ、熊手(くまで)を持ってはだかで歩くガネーシャ、などだ。

 ヒンズー教の強硬派グループ「Sanatan Sanstha」がヒンズー教徒に対し、このような絵に対する「苦痛」をケルカルさんに示すよう呼びかけた時から、脅迫は始まった。

 その後、ヒンズー教の別の2団体が、ケルカルさんの絵が宗教感情を傷つけるとして警察に苦情を申し立てた。2団体のうち「Hindu Jangruti SamitiHJS)」は、展覧会会場での抗議デモを呼びかけた。

 ガネーシャを信仰するケルカルさんは、絵には悪意がなく、創造性の一種の表現にほかならないと主張している。

 1990年代半ばには、インドの著名な現代画家M.F.フセイン(M.F. Hussain)氏が、女神を含むヒンズー教の神々を全裸の姿で描いたとしてHJSから激しい非難を受け、裁判になったことがある。フセイン氏は、自宅を襲撃されるとともに複数の殺害予告を受けた。(c)AFP