【8月18日 AFP】かつて社会主義国家・東ドイツの無骨な製品の象徴として、その国民車「トラバント(Trabant、愛称トラビ、Trabi)」は嘲笑の対象だった。しかし、ベルリンの壁(Berlin Wall)崩壊から20年。「自由世界」にやってきたトラバントは、電気自動車として劇的な復活を遂げようとしている。

 21世紀の新トラバントは、ドイツの自動車メーカー数社による合同チームが開発した「トラバントNT(Trabant NT、通称「ニュー・トラビ」)。9月のフランクフルト(Frankfurt)国際モーターショーで、試作品が披露される予定だ。

「鉄のカーテン(Iron Curtain)」の東側にいたころの旧トラバントは、いつ故障しても不思議でない、さえないデザインの車だった。騒々しい2ストロークエンジンで、黒い排気ガスをはき出して発進し、機関車のようにのろのろと街路へ走り出す姿からは、トラビが21世紀にクリーンな車に変貌しようとは予想もつかないことだった。

 一方、ニュー・トラビは、ルーフにソーラーパネルを搭載し、車内には衛星ナビゲーション・システムや携帯電話、携帯音楽プレーヤー「iPod」の接続端子も標準装備するというハイテクぶりだ。

 開発に加わったザクセン(Saxony)州の自動車メーカー、インディカー(IndiKar)のロナルド・ゲルシェブスキ(Ronald Gerschewski)社長いわく、「都市での移動や小旅行向けの設計」だという。

 その一方で、ゲルシェブスキ社長は、社会主義時代の製品に「ノスタルジー」を見出す最近の兆候に便乗する意図は一切ないと明言する。「ニュー・トラビは、旧トラバンドのレトロモデルではない。環境に優しく生まれ変わった新生トラバントなのだ」
 
 開発側の思惑がどうあれ、ドイツ国内には依然としてトラバントに対する愛着の念が存在するのは間違いない。

 インディカーによると、トラバントのリニューアル計画が初めて示唆された2007年のフランクフルト国際モーターショーで、急きょ、アンケートを行ったところ、回答者1万1500人のうち93%が計画に賛成と答えた。このうちの大多数は、「発売されたら1台購入する」と回答している。(c)AFP/Audrey Kauffmann