【8月13日 AFP】米国で、右派武装組織の活動が約10年ぶりに活発化しているとの報告書が、12日発表された。初のアフリカ系大統領の誕生に触発されたものとみられるという。

 過激派について研究している南部貧困法律センター(Southern Poverty Law CenterSPLC)の報告書「The Second Wave: Return of the Militias(第2波:武装集団の帰還)」は、人種差別や移民排斥、反政府、反徴税などを掲げた国内武装組織が「過去10-12年で最も顕著に」勢力を拡大しており、きっかけさえあれば「脅迫や暴力が発生するのも時間の問題」だと指摘している。

 これらの武装組織は、1995年に起きた168人が犠牲になったオクラホマシティー(Oklahoma City)連邦政府ビル爆破事件を始め、死者を伴うテロ攻撃を1990年代に多数展開した。しかし、保守派のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領が政権の座に就いて以降は、活動が下火になっていた。

 SPLCによると、10年前と今日の大きな違いは、一般的に過激派が第1の敵と見なす連邦政府を率いるのが黒人である点で、これが白人至上主義に潜む怒りを刺激する可能性があるという。

 報告書は、今年に入って警察当局者の殺害が増加している事実と、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が就任したこととの間に直接的な相関関係があるとも指摘。米国初の黒人大統領の誕生に「激高し」て放射能爆弾を作ろうとしたり、武装集団に興味を示し保安官代理2人を殺害したなどの事例を紹介している。

 SPLCが2月に発表した調査結果によれば、人種差別主義を掲げる米国内の団体は2000年には602グループだったが、2008年には54%増加し、926グループとなっている。(c)AFP