【8月13日 AFP】中国・陝西(Shaanxi)省西安(Xian)郊外にある兵馬俑(Terracotta Warriors)は、定説では秦の始皇帝(Qin Shihuang)の副葬品となっているが、実は先祖の宣太后(Empress Xuan)のものだとする説が、12日の国営英字新聞・環球時報(Global Times)に紹介された。

 歴史学者の陳景元(Chen Jingyuan)氏は、このほど刊行された自著『The Truth of Terracotta Warriors(兵馬俑の真実)』で、兵馬俑は始皇帝誕生の55年前に死去した宣太后の副葬坑だとの新説を提唱。兵馬俑坑と始皇帝陵(墓)の距離が離れすぎている点や、人形の兵士の髪型などを、根拠として挙げている。

 また、古い時代の文字が刻まれた兵士が数体見つかっていることや、始皇帝は兵士たちの衣装を黒で統一したと言われるのに、兵馬俑の兵士たちの服はさまざまに彩色されている点も指摘している。

 その上で、こうした特徴は兵馬俑が、「古代の西太后(Dowager Cixi)」とも称されるほどの権勢を振るった宣太后に関係していることを示していると主張する。

「宣太后の下、国は大いに繁栄した。つまり、兵馬俑のような壮大なプロジェクトを実行するだけの資金があったということだ」(陳氏)

 だが、他の歴史学者や考古学者らはこれに反論する。兵馬俑博物館の考古学チームを率いる劉占成(Liu Zhancheng)氏は、兵馬俑坑が始皇帝陵の敷地内にあること、兵士が携えている武器に始皇帝時代の宰相の名前が刻まれていることなどから、兵馬俑は秦始皇のものだと断言する。

 服装については、次のように説明している。「秦王朝では、確かに黒は特別な色とされ、人民は特別な儀式の際には黒を着ていた。だが、いつも黒を着る必要はなかった」(c)AFP