【8月11日 AFP】約1か月半後に総選挙を控えたドイツで、各党が世論の関心を引こうと苦心するなか、与党・中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)の一候補は、党首のアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相(55)の、前年のノルウェー訪問で話題となった「胸の谷間が見える」イブニング・ドレス姿をポスターにして、選挙戦に「刺激」を与えている。

 このポスターを使用しているのは、メルケル氏自身が率いるCDUから連邦議員を目指すベラ・レングスフェルト(Vera Lengsfeld)候補(57)。出馬選挙区は首都ベルリン(Berlin)の左派優勢の地域で、保守的なCDUの候補にとって、9月27日の総選挙での勝利は望みが薄い。

 ポスターでは、話題となったメルケル氏の写真と、そっくりのドレス姿に扮したレングスフェルト候補自らの写真を並べ、メルケル氏の「谷間」にかかるあたりに「わたしたちには、もっと提供できるものがあります」と書いてある。

 旧東ドイツで反体制派の活動家だったレングスフェルト氏は、現地ニュース局N24に対し、メルケル氏の許可は取っていないことを堂々と明かした。「もしも打診していても、首相は許可できなかったでしょう。そうでなければ、みんながこの写真を使いたがったはず」
 
 また、レングスフェルト氏はこうも言い添えた。「全くユーモアのない人がいることにびっくり。だって、有権者はいつも選挙ポスターはつまらないと文句を言っているでしょう?なのに、人とちょっと違うことをした途端に困惑するのよ」

 レングスフェルト氏によると、氏の選挙戦用ブログには、このポスター採用以降、1万7000人の訪問者があったという。「そのなかの10分の1でも、わたしの政策を見てくれたらいい。古臭い『町看板』を掲げたよりも、ずっと多くの人にわたしのメッセージが届く可能性もある」

 しかし、この注目を選挙での勝利に結びつけるには、選挙区で人気の高い緑の党(Left Green Party)のベテラン候補を相手に全力投球しなければならない。

 ポスターに使われた有名なメルケル首相の写真は、前年、外遊先のノルウェーの首都オスロ(Oslo)でオペラハウスの落成式に出席し、青いボレロ付きの黒いドレスを着用したときのもの。当時、英大衆紙デイリー・ミラー(Daily Mail )など各紙が「メルケルの大量破壊兵器」とさんざんに書き立てた。(c)AFP

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