【8月11日 AFP】(一部訂正)東部ヒマラヤ地域は過去11年間で353の新種の動植物が見つかるなど世界屈指の豊かな生態系を有する地域だが、気候変動、森林破壊、過放牧、密猟や野生生物の商取引などにより破滅の危機に直面している。世界自然保護基金(WWF)は10日、このような報告書を発表した。

 報告書によると、この地域は過去半世紀の間に人口増加と商取引目的の乱獲の影響を受け続け、手つかずのまま残っている生物の生息地は25%にまで減少。そのため固有種のうち163種が絶滅の危機にあるという。

 1998-2008年に発見された353種の中には、脚が赤く、後ろ脚にある水かきを広げて滑空するカエル「トビガエル(Flying Frog、Rhacophorus Suffry)」がいる。

 ほかにも、巨大ミミズに似ており、地中に生息する四肢がない両生類、アシナシイモリの一種や、ミャンマー北部で発見された体高60-80センチの世界最小のシカでホエジカの一種、およそ100年ぶりに新種が確認されたサルなども含まれている。WWFによると、このサルはインド北東部アルナチャルプラデシュ(Arunachal Pradesh)州の標高1600-3500メートルに生息。世界で最も標高が高いところに生息するサルの一種だという。

 また、植物は242種が発見されているが、米国のグランドキャニオン(Grand Canyon)の深さの2倍はあろうかというチベット(Tibet)の峡谷に勇敢にも降下した2人の中国人植物学者により発見されたウルトラマリン色の花は有名だ。花の色は気温により変化するという。 

 東部ヒマラヤ地域には1万種の植物、300種のほ乳類、1000種の鳥類が生息する。また、イッカクサイが見られる世界最後にして唯一の場所でもある。(c)AFP/Claire Cozens