【8月3日 AFP】英スコットランドの伝統料理ハギスの調理法を発明したのはイングランド人だとする料理史研究家の説が2日、英紙に掲載された。

 ハギスは羊の内臓のミンチにオートミールを加えてスパイスで味付けし、羊の腸に詰めてゆでた料理。スコッチウイスキーをかけて供されることも多い。18世紀のスコットランドの国民的詩人、ロバート・バーンズ(Robert Burns)が、ハギスに捧げる詩を書いたほど、スコットランド人が誇りとする料理だ。

 だが、デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙に掲載された料理史研究家のキャサリン・ブラウン(Catherine Brown)さんの説によると、1616年にイングランドで書かれた料理本「The English Hus-Wife(イングランドの主婦)」のなかにもハギスの調理法が書かれているという。ジャーベス・マーカム(Gervase Markham)によるこの料理本は、バーンズが「ハギスに捧げる詩」を発表する171年前に出版されたものだ。

 一方、ブラウンさんがスコットランドの料理本のなかにハギスの調理法を見つけたのは1747年の本であることから、スコットランド南部のオリジナル料理が後に、イングランドの料理本にある調理法をまねたものと考えられるという。

「元来、ハギスはイングランドの料理だった。(料理本の著者の)マーカムも1615年に、ハギスはイングランド中で人気の料理だと書いている」(ブラウンさん)

 18世紀半ばよりも前にイングランドの料理家、ハンナ・グラッセ(Hannah Glasse)が著書のなかでハギスの作り方を「スコットランド風ハギス」と紹介しており、このハギスは現在わたしたちが知っているハギスと同じだと、ブラウンさんは説明する。

 スコットランドでは今週末、ブラウンさんの主張を元にしたドキュメンタリー番組が放映される予定だ。しかし、歴史的経緯によるイングランドへの対抗心や伝統料理ハギスへの愛情から、ブラウンさんの説がスコットランドで総反発をくらうのは必至だ。(c)AFP