【7月25日 AFP】6月のクーデターで国外追放されたホンジュラスのホセ・マヌエル・セラヤ (Jose Manuel Zelaya)大統領は24日、陸路ニカラグアからホンジュラス入りした。しかし短時間ホンジュラス領内にとどまっただけでニカラグアに戻り、クーデター後初の帰国は象徴的なものにとどまった。

 ニカラグア領内の国境から数メートルの場所にセラヤ氏が姿を現すと、国境のホンジュラス側では警察とセラヤ氏支持者の間で衝突が起きた。投石する支持者らに警察は催涙ガスで対応した。

 革のウェストコートとトレードマークのカウボーイハット姿のセラヤ氏は大勢の支持者と報道陣に囲まれて国境を越える際、ホンジュラス軍の士官に陸軍司令官と話をしたいと声をかけた。

 ホンジュラス側では兵士が、シオマラ・カストロ・デ・セラヤ(Xiomara Castro de Zelaya)夫人がセラヤ氏と合流することを妨げた。また国際的なテレビがセラヤ氏帰国の模様を放送したが、ホンジュラスのテレビ局はこの件に一切言及せず、通常の番組を放送した。

 夜までに、セラヤ氏の支持者の間には同氏が入国しないとの見方が広がった。数人の支持者は、帰国に関する10日間におよぶ協議で疲れ果てたと述べた。支持者の多くは長い距離を歩いて国境地帯に来ていた。一方、ホンジュラス兵は国境地帯への集結を続けている。

 セラヤ氏が帰国を試みたのは、軍の妨害により首都テグシガルパ(Tegucigalpa)の空港に着陸できなかった7月5日以来。米国のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官は「無謀で、ホンジュラスの民主主義と憲法による秩序の復帰に寄与しない」としてセラヤ氏の行為を非難した。一方ミゲル・デスコト(Miguel D'Escoto)国連総会議長は「正しく、英雄的」だとして称賛した。

 セラヤ氏は、コスタリカのオスカル・アリアス・サンチェス(Oscar Arias Sanchez)大統領が仲介した和解協議が決裂した今週初め、帰国する意向を明らかにしていた。(c)AFP/Julia Rios