【7月24日 AFP】中国の研究チームが、全身の細胞が人工多能性幹細胞(iPS細胞)に由来するマウスを誕生させることに成功し、23日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」(電子版)に発表した。病気や事故で損なわれた器官をiPS細胞で再生させるという夢の実現に一歩近づいたといえる。

 研究は、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)と上海医学遺伝研究所(Shanghai Institute of Medical Genetics)のチームが行った。

 京都大学(Kyoto University)の山中伸弥(Shinya Yamanaka)教授らのグループが2006-07年に発表した手法を使用し、マウスの皮膚細胞から37株のiPS細胞を作製。通常の2倍の染色体を持つ4倍体胚にiPS細胞を注入し、メスの子宮に戻して生育させる「4倍体胚補完法(tetraploid complementation)」という手法を使用し、3株のiPS細胞系から27匹の赤ちゃんマウスを誕生させた。

 このうち茶毛のオス1匹が生後7週間目に白毛のメスを妊娠させ、子ども数匹が生まれた。最初に生まれた「iPSマウス」は「小小(Xiao Xiao)」(英語名・タイニー)と命名された。これらの第二世代マウスは健康には異常が無く、すでに第三世代も誕生しているという。

 iPS細胞は理論上、あらゆる体組織や臓器に分化することが可能で、再生医療での活用が期待されているが、その「全能性」を証明する実験結果はこれまで出ていなかった。(c)AFP