【7月21日 AFP】(写真追加)中国北西部のタクラマカン(Taklimakan)砂漠で発生した砂嵐で、数万トンもの砂の粒子が舞い上がり、気流に乗って約2週間で地球を一周することが明らかになった。九州大学(Kyushu University)の鵜野伊津志(Itsushi Uno)教授らによる研究結果が20日、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に掲載された。

 衛星画像分析やコンピューターシミュレーションを用いた研究により、2007年5月8日から9日にかけて、タクラマカン砂漠では80万トンの砂の粒子が秒速10メートルの風にのって吹き上げられたことが明らかになった。

 これらの砂の粒子は、チベット(Tibet)高原にはばまれて、高度5000メートルまで吹き上げられ、さらには高度8000メートルから1万メートルに達し、ジェット気流に乗って地球を一周して約13日後にタクラマカン上空に戻ってくるという。

 その後、砂の粒子は高気圧の急変により、タクラマカン上空から太平洋上に向かい、太平洋北西に降り注ぐ。砂の粒子が、大西洋やバルカン半島に降り注いだ可能性もあるという。

 鵜野教授は、このように大気中を浮流するちり粒子が、雲を形成して太陽光をさえぎり、地球温暖化に歯止めをかけるのではないかとみており、「大気科学において、黄砂は、想像以上に重要な役割を果たしている可能性がある」と指摘する。(c)AFP