【7月18日 AFP】右手をナチス(Nazis)式敬礼のように上げた庭置き用の人形がドイツ南部のニュルンベルク(Nuremberg)の画廊で展示された件について、ドイツの検察当局は16日、違法の可能性があるとして捜査を開始したことを明らかにした。

 第2次大戦以降、ドイツではナチスの敬礼や象徴となるものは禁止されている。

 当局の広報担当者は「調査は現在も進行中で、関係者から事情聴取を行っている」と話しているが、捜査当局は結局この人形がナチスを「あざ笑っている」ことを証明することになるだろうとみている。

 問題となった人形の制作者は、ドイツ出身のアーティスト、オットマル・ヘール(Ottmar Hoerl)さんで、これまでも公共施設でさまざまなオブジェを制作している。フランクフルトの欧州中央銀行(European Central Bank)前に設置されたブルーの欧州旗を模した巨大な像もその1つだ。

「私の作った人形がこのような波紋を呼んだことに驚いている。今までは誰もが、あの作品に理解を示していたのに」とへールさんは話す。へールさんによると、彼の作品は「ドイツの支配民族をイメージしたもの」だそうだ。今回の捜査については「ある種の皮肉な目」で見ているという。

 へールさんは過去9年間庭置き用の人形を制作し続けてきた。2008年には「Dance With The Devil(悪魔とのダンス)」と題して、ベルギーで初の人形の展示会を開催。その後、オーストリアとドイツのアシャッフェンブルク(Aschaffenburg)でも展示会を開いている。(c)AFP