【6月27日 AFP】天才的なダンサーとして知られ、25日急逝した米歌手マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんの有名なムーンウオークは、「パントマイムの神様」と呼ばれたフランスの故マルセル・マルソー(Marcel Marceau)さんのパントマイムと、ニューヨーク(New York )のハーレム(Harlem)で生まれたダンスステップから着想を得たものだった。

 20年近くにわたりマルソーさんと仕事をしていたエレナ・セラ(Elena Serra)さんはAFPの取材に「マルソーさんはジャクソンさんのことを、生まれながらのパントマイムアーティストだと話していました。優れた身体能力、体の動きについての分析力、理解力を備えていたからです。チャーリー・チャップリン(Charlie Chaplin)についても同じことを言っていました」 と話した。

 ジャクソンさんは13、14歳のころ、よくマルソーさんの舞台を見に来ていたと、マルソーさん自身がよく話していた。マルソーさんのステップのひとつに風に逆らうような歩き方があるが、これがムーンウオークのヒントになったと、ジャクソンさんが舞台裏で話したことがあったという。また、ジャクソンさんは、1970年代末から1980年代初頭までのニューヨークのハーレムで子どもたちが踊っていたダンスステップを基に、ムーンウオークを編み出したと話していたという。

 ジャクソンさんがムーンウオークを初めて披露したのは1983年。テレビ番組で『Billie Jean』を歌っていたときだった。

 ジャクソンさんも2007年に84歳で亡くなったマルソーさんのことを「重力の法則を無視しているようだ」と称賛していた。「2人は互いに尊敬していました」と語るセラさんによると、1995年にジャクソンさんのコンサートにマルソーさんが参加することになり、リハーサルでは2人のマイムも撮影したが、リハーサル中にジャクソンさんが倒れ、共演が実現することはなかったという。(c)AFP