【6月21日 AFP】ロシア政府が18日、第二次世界大戦中に連合軍がナチス・ドイツ占領下の欧州大陸を解放に導いたノルマンディー(Normandy)上陸作戦の決行日「Dデー(D-Day)」65周年の6日に現地で行われた記念式典で、ナチス打倒に果たした自国の役割が正当に認められていなかったと抗議を表明した。

 ロシア外務省のアンドレイ・ネステレンコ(Andrei Nesterenko)報道官は声明で、ノルマンディー上陸65周年に集まった各国元首らの演説で、ファシズム打倒に対する旧ソ連の貢献に言及したのはバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領だけだったと指摘。

 式典を主催したフランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領、英国のゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相、カナダのスティーブン・ハーパー(Stephen Harper)首相の誰も、旧ソ連の役割に言及しなかったと非難した。

 ネステレンコ報道官は、「勝利における旧ソ連の決定的な役割についてただの一言もなかった。旧ソ連軍こそヒトラーの軍隊に最大の打撃を受け、最多の犠牲者を出したにもかかわらずだ。欧州の解放は、ヒトラー軍の最強部隊との数々の戦いで、わが国の兵士数百万人が命を捧げていなければ不可能だったはず」と強く主張した。

 歴史家たちの推計によると、旧ソ連軍兵士2700万人が第二次世界大戦中に命を落としたとみられる。その数はほかの連合国の死者すべての合計数よりも多い。

 英国、米国は1944年にノルマンディー上陸作戦でフランス解放に乗り出すまで本格的に参戦していなかったが、ロシアは最も有名なスターリングラードの戦い(Battle of Stalingrad)を始め、ドイツ軍との戦闘で大きな犠牲を払っていた。

 ノルマンディー上陸は作戦が決定されると、6月6日に連合軍15万6000人が上陸。現在に至るまで史上最大の上陸作戦となっている。(c)AFP