【6月15日 AFP】ドイツのボン(Bonn)で開かれていた国連気候変動枠組条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)の作業部会で打ち出された温暖化ガス排出削減の中期目標では地球温暖化は防げない --- こうした研究結果が11日、英科学誌『ネイチャー(Nature)』(電子版)に掲載された。

 現在のところ、安全とされる気温上昇レベルについて科学的に統一された見解はないが、2007年にノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したUNFCCCは、地球環境を破壊しない気温上昇レベルを産業革命以前と比較して2度以下としている。12月にデンマークのコペンハーゲン(Copenhagen)で開かれるUNFCCCの第15回締約国会議(COP15)でも、「2度以下」を基本として議論が展開される。

 だが、ドイツのポツダム気候変動研究所(Potsdam Institute for Climate Impact Research)の研究チームによると、前週まで開かれていた会合で打ち出された中期削減目標では、気温上昇を2度以下に抑えることは不可能だという。

 現在、打ち出されている削減目標は、先進国が1990年比で2020年まで25-40%減、2050年までに同50-80%減。新興国は2020年までに同15-30%減となっている。

 研究チームは、この削減目標をもとに試算した結果、2050年には産業部門の温暖化ガス排出量が1990年の水準から倍増する可能性があることが分かり、研究チームは「事実上、気温上昇を2度以下に抑えることは不可能」と結論づけた。

 地球の気温は、すでに約0.8度上昇しており、氷河の溶解、万年雪や永久凍土層の縮小などが懸念されている。これに加えて、気温を0.6度上昇させるだけの温暖化ガスがすでに放出されており、これらも考慮すると今後の排出量の余裕はさらに小さくなる。(c)AFP