【6月14日 AFP】イタリアで2007年に殺害された英国人留学生メレディス・カーチャー(Meredith Kercher)さん(当時21)の事件で、ルームメイトだったカーチャーさんが乱交に加わることを拒否したため殺害に加わったとして起訴された3人のうち、米国人交換留学生アマンダ・ノックス(Amanda Knox)被告(21)の公判が13日、現地ウンブリア(Umbria)州ペルージャ(Perugia)で開かれた。

 公判2日目のこの日は、検察側がノックス被告に対し、乱交パーティーからカーチャーさん刺殺に至った経緯などについて厳しく追及した。被告は流暢なイタリア語で答えたが、裁判官らに対して終始、イタリア語で通常必要な敬称を使わなかったため、時々法廷内をざわつかせた。

■被告、警察による供述強要を示唆

 ノックス被告は「殺害時刻に自宅にいて、カーチャーさんの悲鳴が聞こえた」と供述したのは、警察に強要された結果だったと述べた。そして、事件当日2007年11月1日の夜は、イタリア人の交際相手ラファエル・ソレシト(Raffaele Sollecito)被告のアパートで、マリファナを吸って性交をした後、映画を見たと答えた。ノックス被告、ソレシト被告ともに事件発覚数日後に拘束された。

 2被告とともに起訴されたコートジボーワル人のルディ・グエデ(Rudy Guede)被告(20)には、すでに殺人罪で禁固30年の刑が言い渡されている。検察側は、グエデ被告がカーチャーさんを押さえつけている間に、ソレシト被告とノックス被告がカーチャーさんをナイフで刺し殺したとみている。

 カーチャーさんはノックス被告が共に借りていた家で遺体で発見された際、カーチャーさんは半裸でのどを切られ、血の海のなかに倒れていた。

 ノックス被告はまた、警察の尋問の過酷さに耐えきれず、自分のアルバイト先の雇用主パトリック・ルムンバ(Patrick Lumumba)さんが真犯人だと偽の供述をしてしまったと主張しており、検察はこの点について特に詳しく質問した。弁護側は、警察が尋問中に被告を強くののしったり、執拗に自白を促すなどした結果、被告は「自分に当時の記憶がないと思いこまさせられた」と主張した。
 
 カルロ・ダラ・ベドバ(Carlo Dalla Vedova)弁護士はAFPの取材に対し、ノックス被告のこの日の証言は良かったと述べ、「20歳前後の女性を弁護士なしで一昼夜とどめおき、その若さにつけ込めば、作りあげた供述をさせることは難しくない」と警察の捜査を批判した。

 ノックス被告に名前を挙げられ、一時拘束されたものの嫌疑不十分で釈放されたアルバイト先の上司ルムンバさんは現在、ノックス被告を名誉毀損で訴えており、この日の公判も傍聴していた。

■大学の同級生が被告の性格を証言

 さらにこの日は、ノックス被告の性格証人として、被告の出身地米ワシントン(Washington)州シアトル(Seattle)から大学のクラスメート、アンドリュー・セリバー(Andrew Seliber)さん(22)が証言に立ち、被告の普段の様子や、過去に被告が開いたパーティーについて答えた。

 英デーリー・メール(Daily Mail)紙電子版は、地元で行われたこのパーティーについて「ワイルドでひわいなノックスの過去」と衝撃的な見出しをつけ、「アルコールとドラッグでハイになった学生たちが道路に向かって石を投げていた」と報じていた。記事では参加したという人物の話を引用し「いたるところに酒とドラッグがあり、みんな裸になって寝転がっていた。みんな飲みすぎていたから、あちこちでケンカも起こっていた」と伝えた。

 しかし、セリバーさんは法廷で「この記事には、実際に起こっていなかったことがたくさん含まれている」と反論した。また、ノックス被告についてはたまにアルコールを飲んだり、マリファナを吸う程度の「どこにでもいる大学生」で、しかも自分の体については「大事にしていた」と述べた。

 判決は今年後半に下される予定で、有罪の場合にはノックス被告、ソレシト被告にも禁固30年が言い渡される。(c)AFP/Gina Doggett


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