【6月14日 AFP】国際動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of AnimalsPETA)」は11日、米カンザス(Kansas)州ウィチタ(Wichita)で5月に殺害された後期中絶を行う産婦人科医ジョージ・ティラー(George Tiller)さんのクリニックの建物を、「動物福祉」の教育センターとして使用したいとの意向を伝えた。

 PETAのブルース・フレンドリッヒ(Bruce Friedrich)副会長は「同クリニックは倫理的問題の論争の元になっていたが、PETAはこれを買い取って、対話の場所として活用したい」とのコメントを発表した。

 この建物は「Nonviolence for All Beings Center(すべての生き物のための非暴力センター)」という名称となる予定。ここで農場の動物たちが残酷な扱いを受けている事実を人びとに伝え、菜食主義の促進活動に役立てる。建物内にはベジタリアン向けレストランが開設され、来場者は家畜がいかに残虐に殺されているか解説するビデオを無料でもらえるという。

 フレンドリッヒ氏によると、PETAが中絶の倫理問題について声明を出す予定はなく、また中絶と動物虐待の類似点を指摘するつもりもないという。

 長年ティラー医師に対する抗議運動を行っていた米中絶反対団体「Operation Rescue」もこのクリニックの購入に興味を示しているが、テイラー医師の家族はこれを「ただの売名行為に過ぎない」として拒否している。(c)AFP