【6月9日 AFP】ミッキー・マウス(Mickey Mouse)、ミニー・マウス(Minnie Mouse)、グーフィー(Goofy)、そしてプルート(Pluto)らがそろうディズニーのスターたちのなかで最も気難しいキャラクター、ドナルド・ダック(Donald Duck)。短気で何事にも動じない、そんなドナルドが9日で75歳を迎えた。

 考案したウォルト・ディズニー(Walt Disney)は当初からドナルドを、数年早く誕生した人気者ミッキーの引き立て役として考えていた。良い子のミッキーが子どもたちに愛された一方で、ドナルドを大人にも受ける小気味よいキャラクターにしようと考え、それが大成功した。

■75年で就職活動は100件以上

 75年にわたって、100以上の職業に就こうとしたドナルドはそのすべてで失敗。お金がなくて、次から次に不運に見舞われるのが当たり前になった。

 しかし、どんなに挫折し、どんなに恥をかいても、ドナルドは前進し続けた。そしてこの姿勢が、多くの人々に愛されるようになった。「彼は負け犬だが、一度始めると投げ出すことはない。闘い続ける」-ディズニーのウェブサイトではドナルドの性格をこう説明している。聞き取りにくい話し方と、他のキャラクターと衝突したがるのが有名だが、何十年も愛されてきたもうひとつの理由は、その下に隠された心の優しさだ。

 怒りっぽいが辛抱強いドナルドは、1934年6月9日に『かしこいメンドリ(Little Wise Hen)』でスクリーンデビューを飾った。おとぎ話「ちいさなあかいめんどり(Little Red Hen)」をもとにしたもので、主人公のニワトリがトウモロコシを育てるために手伝ってくれる動物たちを探すが、なかなか見つからないという物語だ。

 そして3年後の1937年、メキシコを舞台とした短編映画で主役デビューを果たした。吟遊詩人「ドン・ドナルド(Don Donald)」として登場したが、この作品には、後に恋人のデイジー・ダック(Daisy Duck)となる「ドナ・ダック(Donna Duck)」も出演した。

 ハリウッドの殿堂「ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム(Hollywood Walk of Fame)」入りも果たし、グローマンズ・チャイニーズ・シアター(Grauman's Chinese Theatre)近くの歩道には、ハリウッドスターと並んで水かきのついた足形も刻まれている。

■出演作はミッキーを抜く

 そして、おそらくこれが最もドナルドにとってうれしいことかもしれないが、ライバルのミッキーを越える128本の映画に出演している。

 彼の家族たちにも熱烈なファンがついた。ドナルドと双子のデラ・ダック(Della Duck)、彼女の息子でやんちゃな三つ子の甥っ子ヒューイ(Huey)、デューイ(Dewey)、ルーイ(Louie)、気まぐれなおじさんのスクルージ(Scrooge)などだ。

 ドナルドは、世界のいたる所で違う名前で知られている。デンマークではアンデシュ・アンド(Anders And)、インドネシアではドナル・ベベック(Donal Bebek)、イタリアではパペリーノ(Paperino)と呼ばれている。

 米国ではミッキーが最も人気だが、欧州、特にドイツでは、ダントツでドナルドの人気が高い。

 誕生日を迎え、ファンらはドナルドの似顔絵を描くコンテストを行う。入賞者の作品は、米カリフォルニア(California)州のディズニーランドの隣にあるアナハイム・コンベンション・センター(Anaheim Convention Center)に展示される。(c)AFP/Peter Wuetherich