【6月2日 AFP】乗客乗員228人を乗せブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)から仏パリ(Paris)に向かっていたエールフランス(Air France)機が消息を絶っている件で、同機が落雷にあったとの見方が浮上するなか、航空技術専門家らは、飛行中の旅客機が落雷の直撃をうける頻度は1000時間に1回との統計を示した。これは、1年に2機が落雷にあっている計算となり、落雷のリスクが増加している事実が浮き彫りとなった。

 しかし、専門家らは、落雷の直撃だけで、エールフランス機が墜落するとは考えにくいと一様に述べている。

 エールフランスは、問題の航空機AF447便は1日にブラジルを離陸した後、悪天候に巻き込まれ落雷の直撃を受けたとの見解を発表しているが、消息を絶つ前に同機から複数の機器異常を知らせる自動通信があったことから、同航空のピエールアンリ・グルジョン(Pierre-Henry Gourgeon)最高経営責任者(CEO)は、通信があった直後に大西洋上で、予測もつかない事態に遭遇したのではないかとの見方を示した。

 航空事故分析の専門家、フランソワ・グランジエ(Francois Grangier)氏は、AFPが2005年に行ったインタビューで、航空機と落雷の関係について、次のように語っている。

 航空機が落雷にあった場合、ファラデー(Faraday)の法則により、構造上、アルミニウム製の機体の外枠が機体を電流の直撃から保護する。

 しかし、近年の航空機製造は、燃費効率の追求から、機体の軽量化が進み、機体に炭素繊維(カーボンファイバー)や樹脂などを中心とする複合素材を用いる割合が増えている。

 アルミニウムなどの金属と比べ、複合素材は落雷による電流の偏向効果に劣り、航空機製造に際して新たな落雷対策が追求されている。

 最近では、中国とケニアの航空機が落雷により墜落している。(c)AFP/Celine Le Prioux