旧ソ連に没収されたゴッホの「夜のカフェ」、所有権は誰にある?
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【5月28日 AFP】オランダの画家ゴッホ(Vincent Van Gogh)が「最も醜い作品の1つ」と呼んだ作品「夜のカフェ(Night Cafe)」が、その所有権をめぐって法廷闘争を引き起こしている。
現在、この絵を所有するのは米エール大学(Yale University)だが、これに対しこのほど、パリ(Paris)在住のピエール・コノワロフ(Pierre Konowaloff)氏が、所有権を主張して米連邦裁判所に訴えを起こした。
■レーニン政権に没収された美術品
ピエール・コノワロフ氏は、ロシアの実業家で美術品収集家のイワン・モロゾフ(Ivan Morozov)氏の曾孫。モロゾフ氏は1918年、レーニン(Lenin)率いるボリシェビキ(Bolshevik)政権に、所有する地所、織物工場、美術収集品などを没収された。ボリシェビキが過去のものとなって久しい今なお、没収された美術品は返還されていない。
一方、第2次世界大戦中にナチス(Nazis)に略奪された美術品をめぐっては、返還を求める申し立てが認められている。
原告側弁護士のアラン・ガーソン(Allan Gerson)氏は、こうした現状に風穴を開けたいと考えている。
ガーソン弁護士は、「夜のカフェ」は非合法的に入手されたもので、レーニン政権の「略奪」はナチスのやったことと同じだと指摘。「慣習においても古くからの国際法においても、文化財の略奪は禁じられている」と主張している。「エール大学は(ボリシェビキとナチスの行いの)どこが違うのか、説明すべきです。わたしには何の違いも認められません」(ガーソン氏)。
■旧ソ連所有美術品の競売で米国に
エール大学は1961年に、美術品収集家で同大卒業生の米国人スティーブン・クラーク(Stephen Clark)氏の死後、「夜のカフェ」を寄贈された。クラーク氏は1933年ごろ、スターリン(Stalin)時代に旧ソビエト連邦が所有していた美術品の競売で同作品を購入したという。
エール大学は3月、コノワロフ氏の申し立てに対し、所有者を定める決定を下すよう裁判所に申し立てを行った。大学側は、「(エール)大学が正式な所有者だと信じており、裁判所の決定がそれを裏付けてくれるだろう」とコメントしている。
大学側弁護士のジョナサン・フレイマン(Jonathan Freiman)氏は申し立ての中で、旧ソ連による私財の国有化について、米国の価値観で「極めて異常」ではあるが合法だと主張している。
「夜のカフェ」はゴッホが家賃の支払いの代わりに大家のために描いたもので、黄緑色の光に照らされたカフェの様子をとらえた作品。ゴッホは1888年、弟テオ(Theo van Gogh)に宛てた手紙で、この作品について「わたしが描いた最も醜い絵の1つ」と述べている。(c)AFP
現在、この絵を所有するのは米エール大学(Yale University)だが、これに対しこのほど、パリ(Paris)在住のピエール・コノワロフ(Pierre Konowaloff)氏が、所有権を主張して米連邦裁判所に訴えを起こした。
■レーニン政権に没収された美術品
ピエール・コノワロフ氏は、ロシアの実業家で美術品収集家のイワン・モロゾフ(Ivan Morozov)氏の曾孫。モロゾフ氏は1918年、レーニン(Lenin)率いるボリシェビキ(Bolshevik)政権に、所有する地所、織物工場、美術収集品などを没収された。ボリシェビキが過去のものとなって久しい今なお、没収された美術品は返還されていない。
一方、第2次世界大戦中にナチス(Nazis)に略奪された美術品をめぐっては、返還を求める申し立てが認められている。
原告側弁護士のアラン・ガーソン(Allan Gerson)氏は、こうした現状に風穴を開けたいと考えている。
ガーソン弁護士は、「夜のカフェ」は非合法的に入手されたもので、レーニン政権の「略奪」はナチスのやったことと同じだと指摘。「慣習においても古くからの国際法においても、文化財の略奪は禁じられている」と主張している。「エール大学は(ボリシェビキとナチスの行いの)どこが違うのか、説明すべきです。わたしには何の違いも認められません」(ガーソン氏)。
■旧ソ連所有美術品の競売で米国に
エール大学は1961年に、美術品収集家で同大卒業生の米国人スティーブン・クラーク(Stephen Clark)氏の死後、「夜のカフェ」を寄贈された。クラーク氏は1933年ごろ、スターリン(Stalin)時代に旧ソビエト連邦が所有していた美術品の競売で同作品を購入したという。
エール大学は3月、コノワロフ氏の申し立てに対し、所有者を定める決定を下すよう裁判所に申し立てを行った。大学側は、「(エール)大学が正式な所有者だと信じており、裁判所の決定がそれを裏付けてくれるだろう」とコメントしている。
大学側弁護士のジョナサン・フレイマン(Jonathan Freiman)氏は申し立ての中で、旧ソ連による私財の国有化について、米国の価値観で「極めて異常」ではあるが合法だと主張している。
「夜のカフェ」はゴッホが家賃の支払いの代わりに大家のために描いたもので、黄緑色の光に照らされたカフェの様子をとらえた作品。ゴッホは1888年、弟テオ(Theo van Gogh)に宛てた手紙で、この作品について「わたしが描いた最も醜い絵の1つ」と述べている。(c)AFP