【5月23日 AFP】オーストラリアと米国の科学者らが、国際航空技術に革新をもたらすと期待されている「極超音速」航空技術の実験に成功した。当局高官が22日、述べた。

 オーストラリアのウォレン・スノードン(Warren Snowdon)国防科学閣外相によると、米国とオーストラリアの共同軍事研究の一環として、オーストラリアのウーメラ(Woomera)の砂漠地帯で10回にわたって実験を行う。今回はその1回目だった。

 この計画は、「極超音速国際航空実験(Hypersonic International Flight Research ExperimentationHIFiRE)」と呼ばれ、次世代航空技術の「極超音速」技術を研究する。

 スノードン閣外相は、「極超音速は、音速の約5倍を超える速さで飛行する航空技術を研究するもの。今回の実験では、将来の実験で使用する操縦・管制制御システムの試験を行い、成功した」と述べた。

 実験機は、ウーメラからロケットで宇宙に発射された後、極超音速の実験のため大気圏に再突入した。宇宙への実験機の発射と、大気圏再突入のための位置合わせには、窒素ガスが動力源として使用された。スノードン氏によると、科学者らは、「大量の新データ」を得ることができたという。

「今回の実験で、そう遠くない将来に極超音速機が実現する可能性を示すことができた。この技術は、オーストラリアにとって非常に大きな経済効果と戦略効果をもたらすことになる」(スノードン国防科学閣外相)

 スノードン氏は、極超音速技術が速度と燃費の面で「飛躍的進歩」をもたらし、大陸間航空便の時間を劇的に短縮する可能性もあると述べる。

 オーストラリア国防省は、2007年に同様の技術実験が行われた際に、シドニー( Sydney)からロンドン(London)までの1万7000キロメートルが最短2時間で移動可能になると述べていた。(c)AFP